出版社別バッハ平均律
今勉強中のバッハ平均律、出版社によってかなり違うので書いてみます。
バッハ平均律 第1巻8番
プレリュード es moll 変ホ短調
フーガ dis moll 嬰二短調
プレリュードとフーガ 普通なら同じ調で書かれる所、ここでは異名同調で書かれています。
大変珍しいケースだと思います。
異名同調
こちらヘンレー版
表紙がかなり色褪せていますが青です。
そして8番は
プレリュード フラット6コ
フーガ シャープ6コ
平均律を全調で書くという主旨であえて、プレリュードとフーガを変えているのかもしれませんが、それ以外にも何か意図はあるのでしょうか?
プレリュードの最後の音はミのフラット
そしてフーガの最初の音はレのシャープ
実際は同じ音ですが、これは私が感じたことですが、esmollはなにか浮遊感があるのです。
例えばモヤモヤした気持ちがあって気分が落ち着かないような。。
その不安定な音、ミのフラットでプレリュードが終わり、次のフーガの出だしの音 レのシャープ(dismoll)で弾きだすと不安定からちょっと地に足が着いたような安定感を感じます。
まっ、それは私だけの勝手な感想として…
では私的なことは抜きに考えるとしましょう。
dismollの第6音と第7音は半音上がることが多いですよね。
シのシャープはシ〜と歌いながら実音はドを弾かなければなりません。
ドのシャープはもともと音階固有の音にシャープがついているので、そこにシャープをつけると、ダブルシャープになります。
ド〜と歌いながら実音はレを弾かなければならない。
これって暗譜して歌う時、とてもややこしくなってしまいます。
例えば ここ↓
赤丸のシドは実音はドレ
見た目の記譜もややこしく見えます。
所が同じ箇所をesmollで表すと
音階固有音にナチュラルをつければいいので、見た目もドレと歌えるし、実音もドレ なので、とてもわかりやすいですね。
上記の楽譜はこちらです↓
春秋社版です。(画像暗いですが表紙は白)
そしてなんとプレリュードとフーガとも、esmollで記譜されています。
春秋社の良い所は、フレーズが書いてあるところ
どこまでが一つなのかわからない方には重宝します。
ただそれに頼りすぎるとうっかり読み落とす所もあります。
例えば
上記 2小節目
テーマがファーシー と入りスラーでくくってあります。
強弱もフォルテ
「あぁ、ここからテーマね、テーマは強くね」
って
バッハはテーマを出すって教育されていると、それだけしか考えない、そして教わったとおりにしているから見落としに気づけない
ソプラノの声部をみると、赤の ウッ ミファソミーファファ
🔴のファは和声が解決しているファなのです。
テーマの出だしの🔵のファは、終わりのファと始まりのファが重なっているのですね。
その両方を兼ね備えた音を出したいものです。
テーマがくくってあって、おまけにテヌートまで書いてくれていると、それだけを見て大切なことを見落としがちです。
こんな具合に書いてあること以外にも譜を読む力をつけたいものです。
師がもっていたペータース版も、フーガはdismoll表記でしたが巻末にesmollの楽譜も載っていました。
凄く親切^_^
因みに私は暗譜する関係上どちらもesmollで統一しようと思います。
ピアノ教室 メゾフォルテ